<総 評>
応募数は十九編で、日常生活を題材にした作品が多かった。作者の人生に対する取り組みが文章に滲み出ている作品に共感を覚えた。
全般にインパクトに欠ける印象を受けた。身辺の事象や体験などを素材として、訴えたいことを明確にしてテーマを絞れば、作品に鋭さと深さが生まれると思う。
「書きたい」と思ったときの原点に立って、自分の心で感受したところを大切にしてほしい。それが読者の心に響き余韻として残る。
私も、年一作の寡作ながら作品を発表し続けている。最新作を書く過程で、自分を曝け出す痛みを味わった。が同時に、「書く」ことが癒しにつながることを体験した。この痛みは、思いのたけを描き切ったという充足感の代償なのであろう。
自己が訴えたいと思う真実を的確に表現できるよう努力を重ね、良き作品が生まれることを願う。私も共に書き続けたい。
(山口育子)
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