1992.11.1
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浦島図 |
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悠久の歳月を描き、詠む
浦島図
(うらしまず)
すむかめの いかに
ゆづりて 浦しまが
こはためしなき
よわいなりけむなだらかな山の連なる小島に、緑ゆたかな木々の間に埋もれるようにたたずむ数軒の家々。その住人であろうか、静かな浪間に浮かぶ小舟には1人漁夫が釣り糸を垂れるbbb俗世を離れた静寂な時の流れを感じる1幅です。
狩野(かのう)派の基礎を築いたといわれる狩野元信(もとのぶ)(1476〜1559)の筆と伝えられています。元信の筆かどうかについては今後の研究に俟つとしても、画面右下には「元信」の印がおされ、江戸初期の狩野長信の証文(しょうもん)も添えられており、その画風からも元信、あるいは、彼に非常に近い人物が描いた作品であると推測することができます。
上部には近衛稙家(このえたねいえ)(1503〜66)の手になる賛があります。bbb関東の田嶋助久という人の家には、700余年の長きにわたって「古茶■」なるものが伝わっている。その寿相をたたえて「浦嶋」と名づけた。その年月は、中国古代に尭(ぎょう)・夏(か)・殷(いん)の3時代800余年生き続けたといわれる彭祖(ほうそ)という人物や、万年生きるという亀に比するほど長く珍しい。よって、このことに因(ちな)んで和歌を1首詠ずるbbbそれが冒頭に挙げた和歌です。おそらく、田嶋助久の求めに応じて詠んだのでしょう。歌中の「ためし」とは先例、「よわい」とは年齢のことです。稙家なる人物は名門近衛家の出で、時の将軍足利義稙(よしたね)から諱(いみな)を1字もらったり、太政大臣にまで昇進するなど、当時頂点をきわめた人物。公卿の格調高い筆と、当時を代表するような絵師の筆とが出会った見事な作品となっています。
(高木)
武家のいでたち
−赤備(あかぞな)え−
期間 1992年11月27日(金)〜12月24日(土)武家社会において一番凛々(りり)しい姿と言えば甲冑で身を固め、戦場を駆け回る姿です。なかでも目を引くのが甲冑の美しさです。甲冑は戦において激しい攻撃から身体を守るために考案された武具で、古墳時代に大陸から伝わったとされています。しかし今日に見る甲冑の美しさや形態は平安時代中期頃から台頭した武家社会の発展の中で発達したといえます。その姿には数々の実戦から応用された工夫や機能が施されています。そして室町時代末期には全身を防具で包んだ甲冑「当世具足(とうせいぐそく)」が考案されました。この当世具足は「今風」の防具がすべて「具(そな)わり足(た)りる」ことからついた名です。その構造は集団戦に有利な重装備に、西洋甲冑の様式を取りいれており、以後武家の間でもてはやされました。
徳川幕府譜代大名筆頭の彦根藩主井伊家には、現在約40領の当世具足(以下具足と略す)が伝来しています。そのほとんどが全身を朱色でつつまれた具足で、とくに藩主のものは、兜(かぶと)の頭上に金色に輝く天衝脇立(てんつきわきだて)が装着されています。これは戦場において敵を威嚇(いかく)したり、武勇を誇示するための意匠でありました。さらに集団全体をも誇示するために家臣も朱色の具足を着用し、旗指物などの武具も朱色とし、一軍すべてを朱色に統一させました。これが「井伊の赤備(あかぞな)え」と呼ばれるゆえんです。実際、井伊家は関ヶ原合戦や大坂両陣においておおいに活躍し、この赤備えの具足軍団はその名を全国に知らしめたほどでした。
今回のテーマ展では赤備えの具足に焦点を絞り、藩主・藩士の具足や大小約20程の防具からなる具足の構造、それに附属する道具などで構成し、武勇で知られた彦根藩のいでたちを紹介します。
吉祥(きっしょう)のデザイン
期間 1993年1月1日(金)〜1月25日(月)
能の「翁(おきな)」にもちいる面や装束をはじめ、新春を寿ぐめでたいしるしを井伊家伝来資料に探ります。
雛と雛道具
期間 1993年1月28日(木)〜3月8日(月)
弥千代の雛道具
(女駕籠と長柄傘)13代藩主井伊直弼(なおすけ)の次女弥千代(やちよ)や、14代藩主直憲(なおのり)の正室もりの宮宜子(もりのみやよしこ)の雛道具を中心に展示します。華麗な作品の数々にしばし時を忘れていただければ幸いです。
佐和山城とその時代
11月23日(月)まで彦根の北端に山形の優美な姿を示す佐和山。この頂に、かつて天守閣がそびえ、その攻防のため、多くの人々が争いを繰り返しました。この企画展では、佐和山城ゆかりの作品など77件を、次の7つのテーマに分けて展示しています。
彦根城の陰に隠れて、ややもするとその存在を見失いがちな佐和山城。この機会にぜひご静観ください。
−企画展テーマ−
(1)中世の近江を領した武将たち
(2)肥田城をめぐる攻防
(3)信長と佐和山城
(4)秀吉と佐和山城
(5)三成と佐和山城
(6)描かれた佐和山城とその遺物
(7)関ヶ原合戦と佐和山城