彦根城博物館だより

Hikone Castle Museum News 78

2007.9.1


button 特別企画展クライマックスを迎える「百花繚乱−彦根歴史絵巻−」
button テーマ展大名の調度 −暮らしを彩る−
button 国宝・彦根屏風−屏風復活へのみちのり(6)
button 夏休み教育普及活動のひとこま はくぶつかんへ行こうスペシャル


特別企画展
クライマックスを迎える
「百花繚乱〔ひゃっかりょうらん〕−彦根歴史絵巻〔ひこねれきしえまき〕−」

残る巻の7・巻の8もお見逃しなく!!

巻の7 よみがえった国宝・彦根屏風と湖東焼の精華
平成19年(2007年) 9月28日(金) 〜 10月26日(金)
展示室1・2

 

写真   写真

 近世初期風俗画を代表する傑作として高く評価されている彦根屏風。この度、足かけ2年の保存修理を無事終えました。今回の修理は、経年変化によって傷んだ画面を修復するとともに、100年以上1扇ずつ分かれた状態であったのを、本来の屏風の形に戻すという二本柱での修理でした。
 本展は、修理後初の彦根屏風の公開をおこない、高精細画像の写真を展示するなど、科学的調査や修理時に判明したことも併せて紹介することにより、彦根屏風の魅力を存分に堪能していただこうとするものです。
 また、彦根藩窯〔はんよう〕として江戸時代後期に花開いた、湖東焼を紹介する展示を同時開催します。城下の商人によって始められた湖東焼は、12代直亮〔なおあき〕の時代に藩窯となり、13代直弼〔なおすけ〕のもとで黄金期を迎え、直弼の死後、14代直憲〔なおのり〕の時にその歴史を閉じました。その間、磁器を主力に、金襴手〔きんらんで〕、赤絵金彩〔あかえきんさい〕、色絵〔いろえ〕、染付〔そめつけ〕、青磁〔せいじ〕など華やかな作品を世に出しました。幕末期彦根を彩った数々の名品を一挙公開します。
 
●ギャラリートーク  9月29日(土) 午後2時〜 学芸員 木文恵・小井川 理
●シンポジウム   10月20日(土) 午後1時〜  ※詳細は下記をご覧下さい




巻の8 戦国から泰平の世へ −井伊直政〔いいなおまさ〕から直孝〔なおたか〕の時代−
平成19年(2007年) 10月27日(土) 〜 11月25日(日) 
展示室1・2・3

 

写真
左:井伊直政像 右:井伊直孝像
(彦根・清凉寺蔵)
写真
関ヶ原合戦図屏風(木俣家本)
個人蔵
写真
日吉山王社参詣図屏風
江戸東京博物館蔵
4代将軍家綱の宮参りの図。
参詣後、井伊家江戸屋敷で休息しました。
写真
慶長大火縄銃
堺市博物館蔵
井伊家が大坂城攻撃で使用した
長さ3メートルの大火縄銃。

 彦根城が築かれた400年前の社会は、戦国の世が終わり平和と安定の江戸時代へと向かいつつある時代の転換点でした。その中で、徳川家の筆頭家臣として、軍事・政治の側面からその天下統一を支えたのが彦根藩主井伊直政〔いいなおまさ〕・直孝〔なおたか〕父子です。
 井伊直政は、遠江国井伊谷〔とおとうみのくにいいのや〕(現在の静岡県浜松市)を本拠とする名門・井伊家の跡継ぎとして誕生しますが、その頃、今川家との確執により井伊家は断絶の危機にあり、直政は家の再興を期待されて成長したのでした。15歳で徳川家康〔とくがわいえやす〕の家臣となった直政を、家康は士大将〔さむらいだいしょう〕に取り立てます。旧武田家臣ら武勇に優れた将を配下に組み入れて作り上げた精鋭部隊は「井伊の赤備〔あかぞな〕え」と呼ばれ、その武勇は広くとどろきました。一方で豊臣秀吉〔とよとみひでよし〕政権のもとで政治の舞台にも身を置いた直政は、家康の片腕として政治交渉を担います。家康の軍事・外交を担う筆頭家老としてその天下統一の原動力となりましたが、関ヶ原合戦〔せきがはらかっせん〕後の講和完了を見ずに、42歳でその生涯を閉じてしまいます。
 直政亡き後、一旦は嫡子直継〔なおつぐ〕が跡を継ぎますが、二男直孝に直政譲りの軍事・政治能力を見出した家康は、大坂〔おおさか〕の陣〔じん〕に際して直孝を赤備え軍団の大将に抜擢し、直政の後継者とします。大坂の陣が終結しても、新たな時代に向けて流動的な社会では、大局的に政策を決断するリーダーが必要でした。そのため、大御所〔おおごしょ〕徳川秀忠〔ひでただ〕は遺言で、その役割を直孝に託します。直孝は将軍家光〔いえみつ〕・家綱〔いえつな〕のもとで将軍を補佐して、中国・朝鮮との外交関係、大名の処遇、浪人対策といった幕府の基本政策決定の場で指導力を発揮し、江戸時代260年の繁栄の基礎を築いたのでした。
 本展では、井伊直政・直孝が新たな時代にふさわしい都市・彦根を創るとともに、泰平の世に向けて奔走〔ほんそう〕したその足跡を通じて、江戸時代のいしずえが築かれた激動の時代を振り返ります。

◆◇◆ 展示構成 ◆◇◆
1 戦国乱世と井伊家
  1 東海の名門・井伊一族
  2 天下人と井伊直政
  3 関ヶ原勝利への道
2 戦国の終焉
  1 直孝の登場−大坂の陣
  2 時代を変えた鉄砲の力
3 泰平の世のくにづくり
  1 「大老の家」の始まり
  2 朝鮮通信使のもてなし
  3 将軍家とのきずな
  4 くにづくり・まちづくり
 
◆◇◆ 主な展示作品 ◆◇◆
孔雀尾具足羽織〈井伊直政拝領品〉(長岡市与板歴史民俗資料館蔵)、関ヶ原合戦図屏風〈木俣家本〉(個人蔵)、大坂冬の陣図屏風(東京国立博物館蔵)、慶長大火縄銃(堺市博物館蔵)、朝鮮通信使歓待図屏風(泉涌寺蔵)、東照社縁起(日光東照宮蔵)、朝鮮人道見取絵図(東京国立博物館蔵)

●ギャラリートーク  10月27日(土) 午後2時〜 学芸員 野田浩子
●歴史シンポジウム 「大老の家」はここから始まった−井伊直孝が構想した泰平の世−
 天下泰平の社会が整えられた江戸時代初期、彦根発展の基礎を築くかたわら、国政も主導した井伊直孝の業績と個性を再評価するシンポジウムです。また、本シンポジウムは当館と彦根城博物館友の会との共催事業です。

基調講演 「天下泰平への道」 東京大学史料編纂所教授 山本 博文 氏
個別発表 「井伊直孝の生涯」 彦根城博物館学芸員 野田 浩子
「井伊直孝と彦根のまちづくり」 彦根市教育委員会市史編さん室職員 井伊 岳夫
「徳川幕閣の中の井伊直孝」 京都造形芸術大学非常勤講師 三宅 正浩 氏
討論会 テーマ「井伊直孝が江戸時代の社会に果たした役割」

日時 平成19年11月17日(土) 13:00〜16:00
会場 本館 能舞台見所
参加費 500円 
 ※展示をご覧になる際には、別途観覧料が必要です。
募集期間 平成19年10月17日(水)〜11月10日(土)
当日消印有効
 ※ただし、定員60名に達し次第、締め切ります。
応募方法 往復ハガキ(1人につき1枚)の往信に住所・参加者名・電話番号を、復信の宛名面に住所・氏名を明記の上、お申し込みください。
先着順に受講票を返送します。
申込・問合わせ先  彦根城博物館学芸史料課「歴史シンポジウム係」

国宝・彦根城築城400年記念特別企画展終了後も、彦根城博物館の展示は見どころいっぱいです。
テーマ展・常設展ともに充実させて、皆さまのご来館をお待ちしています。

このページのトップへもどる


テーマ展
大名の調度 −暮らしを彩る−
平成19年(2007年) 11月29日(木) 〜 12月22日(土) 
展示室1

 

写真

 大名家では、女性の輿〔こし〕入れの際にさまざまな調度一式を婚礼調度〔こんれいちょうど〕として調えました。日々の生活の場では工芸技法を駆使して調えられた優雅な道具が空間を彩り、子どもの無事な成長を願って行われる儀式の際には専用の調度が必要とされました。大名家の暮らしのさまざまな場面と密接にかかわってきた調度の数々を紹介します。
 
●ギャラリートーク  12月1日(土) 午後2時〜 学芸員 小井川 理

このページのトップへもどる



国宝・彦根屏風−屏風復活へのみちのり(6)
補彩〔ほさい〕

 

写真   写真

 彦根屏風は、大変傷んでいた時期があったようで、屏風の屈曲部分の本紙が欠失しています。以前の修理では、ここに金箔〔きんぱく〕押しの紙が補われました。彦根屏風のオリジナルの金箔は、やや青みがかった「青金〔あおきん〕」ですが、新たに補われたのは「赤金〔あかきん〕」で、同じ金でも違う色に見えます。
 今回の修理では、この後補の金をどうするかが焦点となりました。以前の修理を尊重してこのままとする、浮き立って見えるのを避けて除去する、2つの選択肢があります。
 検討の結果、金箔押しの補紙を除去し、そこに新たな補紙をあてて補彩をする方針をとりました。補彩は、オリジナルの色と干渉し合って全体に違う印象を与えてしまわないように、かつ、場所によってそれほど色の差がないようにしなければなりません。
 これだけでも大変なことなのですが、彦根屏風の場合、補彩箇所が金箔部分と墨画部分との2種あるために、問題を複雑にしています。本来、質も色も異なる箇所に、同じ色を使ってどちらも自然に見えるように、補彩の色を決定しなくてはなりません。しかも、金箔は、角度によって見え方が大きく変わるため、バランスを確認しながらの慎重な作業となりました。

彦根市が誇る、国宝・彦根屏風 修理完成を記念して、改めてその魅力に迫ります。
国宝・彦根城築城400年記念特別企画展「百花繚乱-彦根歴史絵巻-」巻の7関連企画
●修理完成記念シンポジウム「よみがえった国宝・彦根屏風」
 各分野の第一線の研究者と修理技術者が、彦根屏風について様々な角度から語ります。修理や科学的調査によって分かったことから、彦根屏風のさらなる魅力が明らかにされます。

基調講演 「日本美術の中の彦根屏風」 MIHO MUSEUM館長 辻 惟雄 氏
報告 「彦根屏風の顔料調査結果」 東京文化財研究所 保存修復科学センター分析科学研究室長 早川 泰弘 氏
「高精細画像で見た彦根屏風」 東京文化財研究所 企画情報部専門職員 城野 誠治 氏
「彦根屏風修理の現場から」 株式会社修美取締役・修復部長 竹上 幸宏 氏
討論会 コーディネーター:彦根城博物館学芸員 木 文恵

日時 平成19年10月20日(土) 13:00〜16:00
会場 本館 能舞台見所
参加費 500円
 ※展示をご覧になる際には、別途観覧料が必要です。
募集期間 平成19年9月20日(木)〜10月13日(土)
当日消印有効
 ※ただし、定員120名に達し次第、締め切ります。
応募方法 往復ハガキ(1人につき1枚)の往信に住所・参加者名・電話番号を、復信の宛名面に住所・氏名を明記の上、お申し込みください。
先着順に受講票を返送します。
申込・問合わせ先  彦根城博物館学芸史料課「彦根屏風シンポジウム係」

このページのトップへもどる



夏休み教育普及活動のひとこま はくぶつかんへ行こうスペシャル

 

写真   写真

 夏休み恒例、小学生対象の体験教室「はくぶつかんへ行こうスペシャル」を7月28日(土)・29日(日)に開催しました。今年は、抹茶〔まっちゃ〕を始め各種「お茶」に注目しました。
 木造棟では、抹茶を点〔た〕てる様子を見学したのち、子どもたちが点茶〔てんちゃ〕に挑戦。自分で点てたお茶をお菓子と一緒にいただきました。皆、点茶の作法に見入り、元気いっぱい茶筅〔ちゃせん〕をふってお茶を点てていました。
 講堂では、煎茶、紅茶、中国茶をいれる様子を観察。できあがった「お茶」は少しずつ試飲をして色や香りや味がどのように違うかを体験しました。お湯の中で少しずつ広がっていく茶葉に興味津々で、試飲の際には「甘い」「苦いけどやめられない」などいろいろな感想が飛び出しました。
 展示室では、開催中の特別企画展巻の5「親子で楽しむ 一期一会〔いちごいちえ〕−井伊直弼〔いいなおすけ〕の茶の湯−」で井伊直弼ゆかりの茶道具を見学。茶の湯に熱心に取り組んだ直弼について学習しました。

 

このページのトップへもどる


目次