
2008.3.1
| |
|
| 「井伊直弼と開国150年祭」開催!! | |
| 研究余録 金亀玉鶴 | |
| 国宝・彦根城築城400年祭閉幕 | |
| 支援スタッフ、活動開始! | |
| 教育普及活動のひとこま |
桜の美平成20年(2008年) 3月14日(金) 〜 4月15日(火)
展示室1
古来、日本人に親しまれてきた桜は、和歌や物語を彩〔いろど〕ると共に、美術の絶好のモチーフでもありました。洗練されたそのデザインは和様美〔わようび〕の典型です。このテーマ展では、「桜を愛〔め〕でる人々」「桜花爛漫〔おうからんまん〕」「ここにも桜」の3テーマで、井伊家伝来の能装束や漆工品に、桜を愛する人々の思いをさぐります。
●ギャラリートーク 平成20年3月15日(土) 午後2時〜 学芸員 齋藤 望
国宝・彦根屏風平成20年(2008年) 4月18日(金) 〜 5月20日(火)
展示室1
近世初期風俗画の傑作、「彦根屏風」を公開します。緻密な筆致、洗練された構図、華やかな風俗など、多彩な魅力を堪能ください。
●ギャラリートーク 平成20年4月19日(土) 午後2時〜 学芸員 木 文恵
「井伊直弼と開国150年祭」開催!!期間:平成20年6月〜平成22年3月
彦根城博物館では2年間にわたって、様々な角度から井伊直弼を紹介します。
安政5年4月23日(西暦1858年6月4日)、彦根藩13代藩主井伊直弼は江戸幕府の大老に就任しました。そして同年6月19日(西暦7月29日)、直弼が責任者となり、幕府とアメリカ合衆国とが「日米修好通商条約」を締結します。それから150年を経た平成20年(2008年)を機に、彦根市では、日本の開国に大きな役割を果たした井伊直弼に注目し、その人物像を全国へと発信する「井伊直弼と開国150年祭」を展開します。
期間中、彦根城博物館では、直弼ゆかりの作品をまとめて展示する特集コーナー「直弼のこころ」を設けるとともに、直弼に関わる話題を提供するシリーズ「直弼発見!」巻の1〜12を順次開催します。展示を見る度に視点が変わり、直弼の新たな面が発見できます。
※詳細は平成20年6月1日発行の81号で特集します。
シリーズ「直弼発見!」 巻の1
井伊直弼 大老への道のり
平成20年(2008年) 5月23日(金) 〜 6月24日(火)
展示室1
井伊直弼画像(彦根・清凉寺蔵)
【彦根市指定文化財】
井伊直弼が大老として、歴史の表舞台で重要な役割を演じるようになるまでに、どのような境遇におかれ、何を経験し、何を思考し、自己を形成したのでしょうか。本展示では、直弼が愛用した品々や、彼が心情を吐露した自筆の手紙により、その生い立ちから大老就任にいたるまでの軌跡をたどりつつ、素顔の直弼を紹介します。
●ギャラリートーク 平成20年5月24日(土) 午後2時〜 学芸員 渡辺 恒一
研究余録 金亀玉鶴中島安泰−幕末彦根を彩る画人
子の日の遊び図
中島安泰画 長野義言賛
彦根の旧家に伝わる絵画を拝見したとき、「安泰」または「素鶴」という落款の作品をしばしば目にします。四季耕作図や竹林七賢図などの漢画系のものから、大黒図や布袋図などの縁起物、そして花鳥図など、その画題は多岐にわたります。これらの作者は、幕末に彦根で画を描いていた中島安泰〔なかじまあんたい〕。玄々斎とも称します。記録類が乏しいこともあって、今や、安泰の名を知る人はほとんどいません。
江戸時代の彦根藩士の履歴史料「侍中由緒帳〔さむらいじゅうゆいしょちょう〕」には、安泰は、七十人歩行で24俵3人扶持の中島家の5代目、文化6年(1809)に跡目を継ぎ、文政3年(1820)に病気のために隠居したとあります。実は安泰は彦根出身ではありません。京都の妙法院門跡に仕える浜崎家出身で、中島家へは養子に入ったのです。因幡国出身で江戸で狩野派に入門したとする後世の文献もありますが、典拠不明のため、今後の検証を必要とします。
安泰は、画を描いていただけでなく、指導もしていました。近代京都画壇の大家〔たいか〕として著名な岸竹堂〔きしちくどう〕(1826〜1897)は、安泰に画を学んだ1人です。画で生計をたてようと考えるのであれば京に出て学ぶよう勧めたのは、安泰その人でした。また、江戸時代後期に彦根で焼かれた湖東焼の絵付師のひとり、床山〔とこやま〕にも画を教えたといいます。
そして、近年、安泰が彦根藩13代藩主井伊直弼〔いいなおすけ〕(1815〜1860)の文化活動の一翼を担っていたことが徐々に明らかになってきました。
直弼自詠の和歌集『柳廼四附〔やなぎのしずく〕』には、直弼が、「画の師、素鶴翁のしばしとて越路におもむく時」と題して、安泰に餞て詠んだ歌が収録されています。
しばしてふ(ちょう)言〔こと〕の葉草〔はぐさ〕にほだされて
とどめぬ袖をわす(忘)れずもがな
この記事によって、安泰が直弼に画を教えていたこと、2人は近しい関係にあったことが明らかになります。
安泰はまた、直弼から画の注文も受けています。直弼は、36歳で世子となって江戸へ出て間もなく、彦根にいる藩医の上田文修を通じて、安泰に画の制作を依頼しました。直弼が文修に宛てた書状により、完成までの経緯をたどることができます。
直弼が注文したのは、十二ヶ月図屏風(月次屏風)でした。1年の各月をあらわす画を配したもので、直弼は、完成後に国学の師である長野義言〔ながのよしとき〕に著賛させると言っています。
この注文では、直弼の指示は細〔さい〕にわたりました。例えば正月は、「上摧V子日〔じょうろうのねのひ〕、上田所持之図之通り、但し緋の袴すそを引て」と記し、2月は、自ら筆をとって藁葺〔わらぶ〕き屋根の家と樹木の画を描き、地面の部分に「すみれ」と字を書き入れています。
この時直弼は、本画着手の前に図案を見せるように一旦手紙を書いたものの、江戸と彦根で遣り取りをしていると遅くなるので、安泰と文修とで相談して完成させて江戸に送ってほしいといっています。しかし、いざ送られてくると、正月、5月、9月分が「少々不出来」なので、書き直すように指示しました。正月は、上揩フ器量や風体がよくないなど、この時点での指示もまた細かいものでした。
こうした遣り取りの末、直弼と安泰、義言、そして文修の共同制作ともいうべき作品が誕生したのです。人と人とのつながりの中で1つの作品が創り出されていく様子がよく分かります。
義言賛、安泰画の作品は現存します。しかし残念ながら、このときの作品なのか、それ以後に制作された同様の作品かは定かでありません。現在は2幅の掛幅〔かけふく〕仕立てになっていますが、制作当初は、押絵貼〔おしえばり〕の屏風のうちの2扇分だった可能性が高いものです。うち1幅は、正月子の日に女性が若松で遊ぶ様子を描いたもので、上記の屏風の画題と一致する上、緋の袴を着している点も共通します。
画風に目を転じると、安泰の画は、人物の顔貌表現といい、筆法といい、狩野派の範疇に入るものです。管見の範囲では、安泰筆の著色画はほとんどなく、余白の多い水墨あるいは淡彩の作品で占められています。達筆とは言い難いものの、作品のいずれもが滋味深い雰囲気をたたえています。
安泰の生没年は不詳ですが、76歳の作品も確認でき、かなりの長寿であったことは明らかです。その長い人生は、庶子時代の直弼をはじめとして、藩内の人々の文化的生活の充実に捧げられたといってよいでしょう。(木 文恵)
国宝・彦根城築城400年祭閉幕250日間(平成19年3月21日〜11月25日)で26万1257人が来館されました
3/25 クラフトワークでカブトを作ろう
7/28〜8/19 体験コーナー
10/19 400年祭開幕からの来館者が20万人突破、当館ロビーで、ひこにゃんが「猩々」を舞いました
11/17 歴史シンポジウム
平成19年度、彦根市では「国宝・彦根城築城400年祭」が開催され、各所にて様々なイベントが行われました。
当館も、特別企画展「百花繚乱−彦根歴史絵巻−」巻の1〜8を繰り広げました。また、常設展示「"ほんもの"との出会い」でも名品を次々と登場させ、まさにお祭。来館された方々のアンケートを拝見すると、はじめて当館をお知りになった方、お目当ての展示を見に遠方より足を運ばれた方、リピーターの方、それぞれ充実した時間を過ごしていただけたようです。
展示以外でも、春には赤備えの兜を作る親子教室、秋には展示に関連したシンポジウムを開催し、夏休み期間中には「飾り結び」や「紋切り」、「貝合せ」を体験できるコーナーを設置するなど、当館ならではの催しを楽しんでいただきました。
この400年祭で学んだことを未来に繋げ、新たな歴史を重ねていけるよう、より一層努めていきます。
支援スタッフ、活動開始!
平成19年4月、博物館のさまざまな事業をサポートする、支援スタッフの活動がスタートしました。初年度は、18名が参加。小・中学生対象の体験教室「はくぶつかんへ行こう」のグループリーダー、夏休みに開催した体験コーナーの実施運営、当館能舞台を会場にした恒例の「彦根城能」「夕涼み狂言に親しもう」の受付・会場整理業務に従事しました。子育ての経験や、長年の社会人経験で培った幅広い視野を活かし、いきいきと活躍しました。支援スタッフのあたたかい対応は、来館者にもたいへん好評でした。
この活動のねらいは、市民の方々に、スタッフとして博物館の事業に加わることを通して博物館の役割や意義に関心を持っていただき、市民と博物館が手を携えて、よりよいあり方を目指していくことにあります。支援スタッフとさまざまな意見を交わしながら、「明日の彦根城博物館」を作り上げていきたいと思います。
教育普及活動のひとこま
平成19年度の「はくぶつかんへ行こう」
当館では、彦根市内の小・中学生を対象とした体験教室「はくぶつかんへ行こう」を開催しています。6年目を迎えた平成19年度は、「織り」の原理をコースター作りを通して学ぶ内容で開催し、274名の参加がありました。
教室では、博物館特製の手織ボードと2色の毛糸を使って、参加者ひとりひとりがコースターを作り、「平織〔ひらおり〕」の原理を学びました。「織り」の地道な作業に「肩が凝〔こ〕る」と声を上げながらも、みな集中して完成に漕〔こ〕ぎつけました。経糸緯糸に選ぶ色、糸の目の粗密など、ひとつひとつ表情の違う、自分だけのコースターが出来上がりました。その後は、より大きな布を織るために使われる織機や、複雑な「織り」の技法によって様々な模様が織り出されることを学びました。最後に、展示室で井伊家伝来の能装束を見学し、華麗で繊細な「織り」の伝統技法の一端に触れました。
今年度から支援スタッフが教室の活動に加わり、子どもたちには幅広い年代の人々と触れあえる機会にもなったようです。